以前の投稿でも書いたが、「PHANTOM The Kiss of Christine」でのマドレーヌは主人公エリックの回想にのみ現れる。前回バリーを演じた曽世さんも、エティエンヌを演じた笠原さんも、みな他の新たな役に取り組んでいる。私のみ前回のマドレーヌを引き続き演じ続けたという印象がある。すると公演中は、なんだか皆から取り残されたような気分になっていた。確かにマドレーヌ以外の役もあてがわれたが、台詞もなく通り過ぎたりするだけだったので、公演中は日々マドレーヌの事ばかり考えていた。しかも既に死んでいる設定のキャラクターだったものだから、出口のない暗いイメージばかり頭に浮かんではそれを深めていた。それは丁度、映画「Dancer in the Dark」のような悶々とした気分であった。
そのようなこともあって、劇団でやっているPHANTOM ブログでマドレーヌのことを書いたのだが、本ブログでも読んでいただきたいと思い、以下に掲載します。よろしかったら読んでください。 ![]() マドレーヌ/及川健 裕福な家庭に生まれ、何不自由なく育ち、豊かな才能を育んできた彼女。シャルルという青年と結婚して子供を宿し、人生まさにこれからという矢先、落盤事故で夫を亡くし悲劇が幕をあける。 産まれてきた子供は、出産にともなう事故か先天性の障害児で、その顔は人の体をなしていない。お面を着けさせることで、彼女は我が子に向かう心の折り合いを付けてゆく。後にエリックと名付けられるその子供は、次第に天才を現し始める。3歳にして建築学の本を読みあさり、腹話術も軽くこなし、歌えば天使を思わせる。しかし針の極端に振れた者はその気性も極端だったに違いなく、時にもの凄いヒステリックであったことだろう。こうした感受性のきわめて高い子を初めての子として授かったマドレーヌにとって、育児の大変さは容易に想像がつく。間違いなくノイローゼであったことだろう。それは彼女がとても真摯に子供と向き合った結果だったのだ。そして不器用なまでに真っすぐに対峙することしか出来ない純粋すぎる人間は簡単に壊れる。エリックを失った彼女の心の虚は果てしなく深い。晩年の彼女の様は眼も当てられない。暗く、陰鬱に、そしてゆっくりと心の闇が全身を覆うように人生を閉じて行ったことだろう。 そんな中でも、エリックが喜びそうなモノやオペラ座建設コンペの新聞記事などを大切に箱に入れ、採っておいたりする彼女に心を揺さぶられる。エリックにとっても、あんなに嫌っていた母親に人生の新たな道を示されたことも興味深い。そんな彼女のピュアがエリックに受け継がれ、さらにその才能が世代を超えて、その子供にも受け継がれてゆく。奇しくも祖父と同じシャルルと名付けられたことに、希望を感じずにはいられない。今回の公演で、そんな人間達の紡ぐ壮大な物語を堪能いただければ幸いだ。 そして私はこの物語の途中、彼女の亡骸を目にする時、それまでの壮絶な育児という戦いを終え、自らに閉じこもって戦った彼女に「いままで、本当におつかれさまでした・・・」と語りかけたくなってしまう。少しでも彼女の人生に寄り添えたことは、私にとっても幸いなことだ。 最後に我が息子の人生を見届けていただきありがとうございました。 怪人の母こと 及川健より ■
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by midnight-maker
| 2012-10-28 21:30
| PHANTOM
10月6日から始まったPHANTOMが24日に無事に千穐楽を迎えました。
多くのお客様がPHANTOMを愛して観劇していただき嬉しく思います。 また今年初めのOZ公演で、私は体調を崩したから、 今回こうして無事に乗り越えられたことにほっとしています。 あれ以来、公演中に身体の違和感を感じるとすぐに葛根湯を飲むという生活になりましたもので。 なにはともあれ皆様、シアターサンモールにご来場いただき、 そして手紙や花など差し入れていただき、誠にありがとうございました。 さて、今回のPHANTOMの千穐楽はマチソワだったため、翌日にバラシが行なわれた。 最近はみな売れっ子役者になり、翌日から稽古というメンバーが多数いたため、 私も久しぶりに朝からバラシに参加した。 原田には「及川さん、ガチ袋(ナグリやペンチなどを入れ、腰から下げる袋)持っているんですね」 などと冷やかされたりもした。 で、打ち上げはというと、24日の夜公演が10時半くらいに終わり、 その流れで、劇場を出てすぐに行なわれた。らしい。 いつも終電で帰る私は残念ながら参加できなかった。 うう、タダ酒が飲めなかったぜ。 でもって翌日は10時からバラシをしている、この劇団は・・・本当に・・・忙しい。 ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-26 16:16
| PHANTOM
腹筋ローラーというエクササイズグッツをご存知だろうか?
フィットネスローラーなどとも言うのかしら。 30cmくらいの長さの鉄棒に、直径25cmくらいの一輪の車輪がついている器具だ。 その車輪付棒の両端を手で持って、両膝を地面につけ、四つん這いの格好になる。 そしてそのまま上体を前方に伸ばし、ローラーを転がしてゆく。 身体が地面につかないギリギリまで伸ばし、 そこから再び上体を四つん這いの格好まで戻してゆく。 この運動で腹筋はもとより背筋、腕の筋肉までを効率的に鍛えることが出来る。 その効果たるや絶大だ。 初めてやる方は2〜3回この運動を繰り返すだけで、翌日ばっちり筋肉痛。 経験したことのない痛みに襲われることだろう。 この器具がStudio Life団員たちのアップ用として流行っている。 中には上記のやり方より遥かにきつい方法で鍛える者もいる。 膝ではなく、両足を普通に立った状態で前屈し、車輪を持つ。 そしておもむろにローラーを転がし、身体が地面につくぎりぎりまで伸ばした後、戻してくる。 ちょうど巨大な尺取り虫のような感じだ。 身体を伸ばすと地についている部分はつま先と手で持っている車輪だけという格好になる。 想像するだにきつい運動だ。 そして、Lifeでもこれが出来る者は数えるくらいしかいない。 松ちゃんと奥田とチューと宇佐見・・・。 そして今日新たに私が、その強者たちの仲間入りを果した。 ず〜とチャレンジしつづけてきて、今日初めて成功したのだ。 2回だけ・・・やった〜。 というわけで、最近うっすらと割れ始めた腹筋に悦に入ってます。 めざせ虫! ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-22 00:41
| つぶやき
シヴィル・ヴェインとは「ドリアングレイの肖像」という舞台で私が演じたヒロインの名前だ。
その彼女のドレスが今回のPHANTOMで、クリスティーヌの楽屋に置かれている。 背景の絵ともマッチしていて、とても良い感じ。 私にとっては懐かしいこの衣裳、 ご覧になられた貴方は見つけられたかな? ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-19 00:54
| PHANTOM
今月の14日で本ブログ開設6周年となり翌日から7周年目に突入した。
ということをお客様に知らされて気付いた。 おお、よく続いたもんだ。おめでとうございます。 そして毎度本ブログを見ていただき、ありがとうございます。 というわけで、これからもあまり気張らずに続けて行きます故、よろしくお願いします。 ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-17 01:00
| つぶやき
今回のPHANTOMで私が担っているもう一つの役が貴族の女である。
オペラ座建設の資金繰りや実務、そして政治的に大きな役割を果たしたであろう芸術省のキュモン。 その夫人だ。 気位は極めて高く、実際身分も高い、ノっている女だ。 私の勝手な設定では、名前は「Jyun Uemoto」 「植本潤さん」というのは花組芝居の男優・・・いや、女優さんで、 かつて私も共演したことがある方だ。 その方と今回の貴族の女が似ているという海司の意見を元に上記の名前になりました。 もの凄く安直だ。 まぁ、このような小さい役をあてがわれると、つい遊んでしまうのが役者というものなのだ。 ![]() さぁ、明日も下々のモノを睨みつけてやるぜ。 ■
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by midnight-maker
| 2012-10-16 01:49
| PHANTOM
PHANTOMの劇場でStudio Lifeのオリジナルグッズが販売されている。
役者がそのお店番に、持ち回りで立つ。Studio Lifeではいつものこと。私も例外ではない。 しかしソワレ後のお店番に立つと終電に間に合わなくなるので、私はマチネ公演後専門だ。 どうぞ皆様、私がデザインした来年のカレンダーなどお求めくださいませませ。 ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-15 01:43
| PHANTOM
今回のPHANTOMではマドレーヌ役以外に2役担っている。
その一つがヴァイオリン人形だ。 私、人形の役は初めて。 しかし巷のお人形さんのように眼を開けていられないので、つぶっている。 稽古場でずっと瞬きをしないで我慢していたらどうなるのだろう? という実験をおこなったことがある。 すると勝手に涙が出てきて、終いには鼻水まで出てきた。 ゆえに眼を閉じたお人形さんになりました。 しかし、ジっとしているのは疲れる。 それに次から次へと雑念が湧く。 人形の心になるにはほど遠い。 北島マヤにはなれないわ。 ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-14 00:14
| PHANTOM
今回のPHANTOMも映像が美しい。
一幅の絵画のようなのは前回同様、今回は立体的に動いたりするもんだから、 某テーマパークのアトラクションのよう。本当に素敵! 観ることにあまりに集中しすぎると、酔うかも知れませんよ。 さぁ皆様、是非とも体験するべし。 ![]() これはお酒じゃないぜ〜。 ■
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by midnight-maker
| 2012-10-13 01:12
| PHANTOM
大作だ、今回のPHANTOMも。
上演時間3時間。 お客様もよく集中して観てくださる。 そして私は毎日終電1本前の電車に乗車して帰宅。 一つ間違えると終電をも逃す羽目に。 うふふ、やべぇ〜。 ![]() ■
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by midnight-maker
| 2012-10-12 01:21
| PHANTOM
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